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川本産業、希望退職で社員1割減

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衛生材料大手の川本産業は20日、早期希望退職の募集に61人が応募したと発表した。円安による原材料価格上昇など経営環境が厳しさを増すなか、45歳以上の正社員を対象に45人程度募集していた。3月末時点の従業員の1割強が9月末で退職する。
退職金割り増しなどにより、2014年4~9月期に約3億円の特別損失を計上。今期末までに2億円前後の人件費削減を見込む。15年3月通期の業績への影響は精査中という。(日本経済新聞 8月20日)

人手不足で雇用情勢が好転したとはいえ、40歳を過ぎると再就職先の確保は難儀である。
生活費の負担も重くのしかかり、もっとも転職を控えなければならない年代であることは、昔から変わっていない。

にもかかわらず、45歳以上の正社員が募集人数よりも多く集まったのは、それだけ同社の先行きが暗いからなのか。同社の実態は分からないが、通常、希望退職を実施する時期には組織風土が荒廃しているもので、たとえ次のキャリアが見えなくとも(まずは、この環境から抜け出そう)と考える社員は少なくない。在籍を続けること自体が“人生の無駄”という心境になってしまうのだ。

それにしても希望退職の募集対象は40歳~45歳以上が相場だが、年齢を問わないのが本来のあり方だろう。人件費の抑制、スキルの伸びしろ縮小、新陳代謝など中高年社員を対象にする理由はいろいろと挙げられるが、社員の人生設計という要素が決定的に欠落している。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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