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退職代行「大人気」、20~30代に広がる「コスパ意識」の恐ろしさ

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本人に代わって会社と退職の手続きを行う「退職代行」が話題だ。

サービスを提供する会社EXITでは、20代男性を中心に月に300件もの依頼があるという。

同社の公式ウェブサイトには、「明日から会社に行かなくてもOK」「スピード退職」などの刺激的なコピーが踊る。

メールやLINEで依頼するだけで、文字どおり、本人はその瞬間から会社と一切関わることなく退職できるのが、人気の理由なのだろう。費用は3~5万円だ。

今年の5月、私の知人が運営する保育園にも、退職代行からの連絡があったという。4月に入社したばかりの20代の保育士が「持病の悪化のため辞めたい」ということだった。

聞いたこともない会社からの唐突な連絡。持病の話は初耳だし、本人からは何の相談もない。対話の余地もなく粛々と退職の日を迎えるのみ。突然にピシャリとコミュニケーションを遮断されてしまい、困惑するばかりだったという。

そもそも退職の手続きは、お金を払ってまで他人に頼むことなのか。社会人としての配慮に欠けると眉をひそめる人も少なくないかもしれないが、その裏には、働き方に対する若者世代とオトナ世代の大きな価値観のズレが透けて見える。(現代ビジネス 8月14日)

この記事に対するコメント欄に「人事担当です」として、以下の書き込みがある。

「最近は会社に満足いかなければすぐに辞めるのが普通になりつつあります。逆に会社は使えないのに会社にしがみつく人材を解雇する事ができません。故に元々力のある大会社にのみ優秀な人材が集まりやすく、会社の二極化が進行してしまいます」

さらに書き込みはつづく。

「使えない人材を多く抱えてしまった会社は遅かれ早かれ潰れます。退職代行があるなら解雇代行もあって良いと思います。一応言っておきますが、解雇したいと思うような人材はそこまでいません。よっぽど酷い人材だけです。しかしながら一定数いるのが現状です」

退職代行と解職代行。ともに軋轢を回避して、無駄なエネルギーを消費せずにすむ。双方の感情が錯綜すれば禍根を残しかねないので、代行業者を起用してビジネスライクに進めたほうがよいだろう。

代行業務には弁護士の参入がつづくかもしれない。たとえば退職時には、残業代の未払いや、本人にとって一方的に不利な合意書に署名させられることもあるので、弁護士が代行を引き受けたほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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