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日本郵便、本年度分の物販ノルマ廃止 自腹購入が問題に

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日本郵便は13日、全国の郵便局で展開するカタログ販売などの物販事業について、2019年度の営業ノルマを廃止すると決めた。同日付で各郵便局に文書で伝えた。物販事業を巡っては年賀はがきなどと同様、ノルマが達成できない局員が自腹で購入することが問題となっており、来年度以降はノルマの算定方法を見直す方針という。

かんぽ生命保険の不正販売を受け、日本郵政グループは9月から顧客への意向調査を本格化させる方針を示している。文書によると、今回の物販事業ノルマ廃止の理由は「かんぽ営業の信頼回復に向けたお客さま対応に最優先で取り組むため」としている。

物販事業は、郵便局に置いたカタログやチラシで品物の注文を受け、ゆうパックで配送するサービス。取り扱う商品は、食品や化粧品、ランドセルなど多岐にわたる。

ノルマ廃止は9月以降。商品の販売は続ける。局内に企業のポスターを張ったり試供品を配ったりする広告事業の営業ノルマも取りやめるという。
(西日本新聞 8月13日)

20年以上も前にさかのぼるが、知人の息子が大手コンビニエンスストア本部に就職し、直営店の店長に就任した。7月下旬、知人が息子の自宅マンションを訪問したら、お中元用のクッキーセットが20箱近く積んであったという売り上げノルマを達成するために自腹で購入していたのだ。

「ノルマ達成のために自腹で購入させるとはケシカラン。会社に抗議しろ!」

「新入社員にそんなことはできないよ。かりに抗議しても、会社は目標を達成しろと指示しただけで、自腹で購入しろとは指示していないとタテマエで返してくるだけだから」

当時、新興の飲食店チェーンでも売上目標に届きそうにないと、家族や取引先などを動員して来店してもらい、売り上げを立てていた。動員をかけるメールを見たことがあるが、ひたすら「お願いします!」を繰り返す文面で、哀れな印象を受けたものだ。

自腹購入方式は会社にとっては給料を巻き上げるような行為である。社員にとっては給料の返上をいつまでもつづけられず、退職者がつづいてしまう。会社にとっても、虚飾の売り上げを計上できるだけで、数字に見合った営業力は蓄積されない。

自腹購入を暗に促すような言動を処罰の対象にしないと、いっこうに消えてなくならない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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