2019/07/26
起業や出産・育児で離れた社員の「出戻り」を促す動きが活発になっている。以前は一般の中途採用と同様の扱いだったが、すかいらーくなど受け入れ制度を整える企業が相次ぐ。出戻り社員は仕事内容や社内事情を熟知した即戦力として扱える。一度退職した社員に「裏切り者」とレッテルを貼らず、積極的に受け入れることが、人手不足を乗り切る鍵になる。
「いろいろな会社を経験したが、やはりこの会社が一番働きやすい」
こう語るのは、すかいらーくホールディングスが運営するファミリーレストランで店長を務める上原悟さん(37)だ。約10年前に体を壊して同社を退職した後、保険会社や競合の外食チェーンなど3社を渡り歩いた。だが2017年、古巣への「出戻り」を決めた。
「心のどこかで敬遠していた」上原さんを後押ししたのが、「おかえり すかいらーく」という再雇用制度だ。同社は17年、退職した社員やパート・アルバイト専用の募集サイトを開設し、採用選考を申し込める仕組みを整えた。これまでに数十人の退職社員が再び同社の門をたたいた。(日本経済新聞 7月19日)
職場への不満が湧いてくると、他社に対して「隣の芝生は青く見える」という心境になり、それが高ずると、吉凶を検討せず転職に踏み切るようになってゆく。実際に青い場合もあれば、他の色の場合もある。
「こんな会社に転職するんじゃなかった!」「辞めるんじゃなかった!」と悔やんでも後の祭りだ。そして、ひとたび会社を転々とする渡り鳥になってしまうと、キャリアの軌道修正が難しくなる。その意味で、出戻り制度は原状回復を可能にし、本人に安心感を提供する。それだけに出戻りできるような禍根を残さない辞め方も問われてくる。
出戻り制度が浸透すれば、会社にとっては有能な退職者をふたたび戦力にできるうえに、採用のPR材料になるかもしれない。
出戻り入社した社員のスキルに、以前に比べて明らかな飛躍が認められれば、出戻り制度は普及するだろうが、それも組織風土による。社員の一体感を過度に求める会社では、一体感と排他性が対になっていることも少なくない。
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