2019/07/18
日本のIT(情報技術)大手が若手の研究者や技術者の報酬を増やす。NECは優秀な研究者には新入社員でも年収1000万円以上を支払う制度を導入する。富士通はカナダの人工知能(AI)子会社で役員待遇の報酬を検討する。IT業界ではGAFAなどの米国企業などが厚遇で世界の人材を集めている。危機感を強めた日本企業は若手を照準に市場価値に見合った評価を導入し、硬直的な賃金制度を見直す。
NECは2019年10月から、社外の評価を反映して若手研究者の報酬を決める制度を導入する。新制度では新卒でも学生時代に著名な学会での論文発表などの実績があれば1000万円を超える報酬を支給する。同社に18年4月に入社した博士号を持つ新入社員の月収は28万9000円。年2回の賞与を加え年収は数百万円とみられる。
現状も優れた研究者を管理職に抜てきし、年収で2000万~3000万円程度を支払う例もあるが、20~30歳代の若手は対象外だった。年齢を問わず能力や実績を考慮して決める等級制度を新設する。(日本経済新聞 7月10日)
いまの20代社員や学生は終身雇用を考えていないので、20代のうちは低賃金に甘んじて、30代後半になって賃金が上がってゆく時期まで待てない。しかも年功賃金でも40代後半には頭打ちになる。
もはやスペックが高く潜在能力のすぐれた人材が、実力次第で20代から高給を得られる外資系に流れる動きは止められない。実力を評価する重要な尺度が賃金である以上、日本企業も賃金水準を思い切ってアップしない限り、外資系に人材を取り込まれてしまう。
社内の賃金バランスに気を取られている場合ではないが、そもそも人事評価は、年齢、性別、国籍に関係なく、平等に運用されたほうがスッキリする。
ただ、高給で採用する新入社員が相応の成果を出しつづけるには、職場環境の整備も必須である。たとえば社内の抵抗勢力の芽を除去しておかないと、数年後にはGAFAなどに転職されてしまい、その例が立てつづけば、高給採用は廃止されるかもしれない。
もっとも、いまの時代、流出リスクを承知のうえで高給採用するのだろう。
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