2019/07/02
ソニーが高度人材を確保するため、新入社員でも最大で730万円を支払う新しい給与制度をスタートさせる。優秀な人材が海外の企業に奪われるのを防ぐことが目的だが、果たして効果を発揮するのだろうか。
ソニーは、日本企業の中では成果報酬について前向きな企業であり、これまでも仕事の役割に応じた等級制度を採用してきた。今回の措置は、既に存在している等級制度を活用し、一律で等級を付けていなかった新入社員にも状況に応じて等級を付与し、高い賃金を支払うというものである。
同社の大学院卒新入社員の年収は約600万円だが、今回の措置によって、最も優秀な社員の場合には2割ほど増えて730万円になる。
厚生労働省の調査によると、2018年における日本の大卒初任給は20万6700円、大学院卒は23万8700円だった。10年前の08年は大卒が19万8700円、大学院卒が22万5900円とわずかに上昇はしているものの、ほぼ横ばいに近い。(ITmediaビジネス 6月24日)
賃金水準の設定で重要なことは公平性の担保である。新入社員の高給に対する社内の受け止め方を調査したら、どんな結果になるのか。40歳を過ぎて給与が頭打ちになった社員は不満を示すかもしれないが、大方は様子見を決め込むだろう。
1年後に高い成果が出ていれば納得するし、人並みであれば不満が充満する。本来、給与は会社と自分との契約条件なのだから、同格の社員と比べて多寡に反応する必要はないが、サラリーマンは他の社員との比較に気を揉む人類である。
だから、多くの社員は、本心では高給新入社員には平静ではいられないのではないのか。
一方、優秀な人材が初任給だけに魅かれて入社するとは思えない。高給で引っ掛けて、その後の昇給が鈍化するのなら、20代でも高給が支給される外資系のITや金融機関にサッサと転職していく。そして、いずれ起業する。
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