2019/06/18
初任給を引き上げる動きが産業界で急速に広がっている。若年層やデジタル人材を取り込もうとする企業が処遇改善を競い合う。企業が成長を続けて収益を増やし続けない限り、中高年の給与にしわ寄せがいく。業績が低迷する電機メーカーや構造変化に見舞われる製薬などでは中高年の厳しさが増している。人手不足が年功序列を前提とした賃金制度を崩し始めている。
ゼネコン業界で初任給引き上げの連鎖が起きている。大成建設は2018年4月に大卒を1万円引き上げ24万円とした。高専卒(総合職)も22万円と1万5000円引き上げた。19年4月には鹿島など他のゼネコン大手も大卒初任給を24万円に上げ、人手不足が深刻化する建設業界で若手を取り込む動きが広まる。
(中略)
厚労省の賃金統計表をもとにした分析では、1000人以上の企業で働く40~44歳の男性の平均年収は、08年の797万円から18年は726万円に減少。45~49歳も50万円ほど下がった。一方で18年の25~29歳は08年より17万円、20~24歳も15万円増えている。(日本経済新聞 6月7日)
金融庁が発表した報告書が物議をかもしているが、勤め人にとって資産形成は長期戦である。とくに投資には学習や経験が必要で、リスクヘッジを図りながら増やし方を体得するには、一定の年月を費やさなければならない。
貯蓄であろうと投資であろうと、長期にわたって取り組まないと資産を形成できないのだ。中高年になってから取り組みはじめても遅いのに、そこに賃金抑制が加われば、老後に向けた蓄えを説かれても、なかなか対処できない。
中高年社員が確実に蓄えを増やすには、たぶん副業に取り組む以外にない。中高年社員の賃金を抑制する企業は同時に副業を解禁して、生活設計をサポートしないと、中高年社員は将来不安から仕事に身が入らなくなるのではないか。
多くの企業でセカンドキャリア開発プログラムのメインテーマは副業になるだろう。
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