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外国人材 海外で青田買い 「特定技能」獲得に先手

ono20190611

4月に新設された外国人の在留資格「特定技能」を巡る企業の人材囲い込み競争が激しくなっている。人手不足が深刻な外食などの企業が東南アジアなどに自ら拠点を設け人材確保に奔走する。海外から人材を呼び込むのに必要な2国間協定や試験の実施体制などの環境整備はまだ道半ばだが、企業は先んじて「青田買い」に走っている。
カンボジアの首都プノンペン近郊に4月、特定技能人材を育成する全寮制の語学学校が開校した。20~30代の若者約20人が朝から晩まで寝食を共にして日本語を学ぶ。
運営するのはオンラインのビザ申請サービスのスタートアップ、one visa(ワンビザ、東京・渋谷)。日本企業としては他社に先駆けた動きで、外食企業向けに年内にも人材を送り出す計画だ。
(中略)
「日本国内は外国人材の獲得競争が激化しており、海外でいち早く日本企業向けの人材供給拠点を確立したい」とワンビザの岡村アルベルド最高経営責任者は話す。
(日本経済新聞6月4日)

日本商工会議所が6月6日の発表した調査(対象・47都道府県の中小企業4125社)で、人員が「不足している」と回答した企業は、2018年度調査結果(65.0%)と比べて1.4ポイント上昇の66.4%に上昇した。数年度(3年程度)の人員充足の見通しについては、半数以上の企業が「不足感が増す」と回答した。

外国人材の受け入れニーズでは「既に雇用している」「今後雇用する予定」「雇用するか検討中」と回答した企業は50.8%。2018年度調査結果(42.7%)から上昇した。そのうち、「特定技能」外国人材の受入れについて「現在、受入れを検討中」「今後、受入れを検討する可能性あり」は83.6%に達した。

特定技能の発足では悪質ブローカーの排除が謳われているが、実態はどうなのか。ベトナム政府当局の幹部と面談した人材紹介会社幹部は、悲観的に見ている。

「ベトナム政府は、海外への人材移動では必ず送り出し機関を通すことを義務付け、しかも送り出し業務はビジネスだから、送り出し機関は本人から保証金を取ってよいと通知しています。ベトナムに関しては、日本で働くために借金をかかえるという構図は、特定技能でも抜本的には改善されないと思います」
日本と相手国とはルールが違うという現実が、あらためて指摘された。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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