2019/05/15
三菱UFJ銀行は2023年度までに、本部に所属する社員数を半減する方針だ。業務の自動化システムなどを導入し、余裕ができた人員は営業部門や海外の拠点に異動させる。長引く低金利や異業種の参入で事業環境が厳しくなっており、人員配置を最適にして収益力を高める。東京の本部には企画や管理などを担当する6000人程度の社員がいる。単純な事務作業では「RPA」(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれる自動化システムの導入を進める。23年度までに約3000人分に相当する業務量を減らせる見込みだ。
浮いた人員は1990年前後に大量採用した社員の退職などで人手不足が見込まれる営業部門に配置する。米国やアジアなど海外拠点にも異動させる。本部の中でもデジタル技術を用いた新たな決済手段を開発するIT(情報技術)部門や、海外の金融規制の強化に対応する部門は増員する。(日本経済新聞 4月28日)
RPAを開発しているシステム企業の社長を取材したとき、社長はじつにわかりやすく効果を説明してくれた。
「RPAを導入するメリットは事務作業の生産性向上ですが、それだけではありません。スイッチを入れれば24時間365日稼働するので、残業手当も休日出勤手当も発生しません。メンテナンスをしっかりとやっておけば、健康を害することもありません」
大手企業の場合、RPAを導入すれば、本社人員を大幅に削減できて、人手不足対策に一定の成果が出るだろうが、外国人労働者に頼らざるをえない職場はそうはいかない。今年4月の入管法改正で在留資格「特定技能」の対象に指定された14業種は、RPA導入で抜本的に生産性を向上できる業種ではない。
14業種は、介護、宿泊、外食、造船・舶用、素形材、ビルクリーニング、自動車整備、飲食料品製造、農業、航空、産業機械製造、電気・電子情報関連、漁業、建設。
外国人労働者が就労するのは手作業の現場労働である。現場労働は生産性向上に取り組みにくいため、外国人労働者の雇用以外に打開策が見えない。生産性格差が顕著になってくる。
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