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外国人実習生受け入れ 企業の法令遵守監視

ono20190320

厚生労働省は外国人技能実習生の受け入れ企業に対する監視体制を強化する。受け入れる企業の実地検査や実習計画の審査などをする人員を7割増やすほか、実習生からの相談や通報を受ける体制をつくる。人手不足を背景に実習生の受け入れは急増し、違法残業などが目立つ。外国人材が適切な環境で働けるように、法令順守の体制を整える。
実習生の受け入れ先のチェックなどをする外国人技能実習機構(東京・港)の職員を2019年度に7割増やし、約590人とする。機構は17年1月に設立され、外国人に実習先をあっせんする監理団体や受け入れ企業に対し、法令を順守しているかの実地検査をしている。技能実習計画書の審査も担う。
主に企業などへの実地検査をする人員と、計画の審査・認定を行う人員を拡充する。実習生からの相談や通報に対応する担当職員も配置する。(日本経済新聞 3月10日)

外国人技能実習生の就労状態に責任を持つのは、第一に就労先である実習実施者、第二に監理団体、第三に外国人技能実習機構である。
そもそも健全な就労環境を整備できない企業は、技能実習生に限らず外国人材を受け入れるべきでないが、監理団体がその可否を判別しない限り、受け入れ実態の修正は難しい。監理団体が法令遵守体制を評価すれば、ここまで人権問題が拡大することは回避できたかもしれない。だが、監理団体も非営利組織とはいえ、実習生の紹介はビジネスだから、受け入れ希望を拒否しにくいのか。

一方、受け入れ経験のない企業は、どの監理団体を選べばよいのか迷っている。紹介してくる人材の質や、毎月の訪問指導の質などは見えにくい。そこで、監理手数料を選択の目安にする意見もある。
監理手数料は企業側にとって相当な負担材料になっている。監理手数料は実習生1人につき月4万円台の設定が多いようだが、ある受け入れ経験企業の経営者は「3万円程度なら良心的な料金といえるでしょう。あまり安いのも毎月の訪問活動がおろそかにならないのか不安です」と語る。

いまだに監理手数料の適正料金が示されていないのは、訪問先が近場なのか、出張を伴う距離なのか、さらに宿泊が必要な出張なのか、そのコストがケースバイケースで標準化できないからだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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