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経産省、管理職に公募制 6ポスト対象 専門人材取り込み

ono20190308

経済産業省は主要な管理職に公募制を導入する。技術の高度化に対応するため、専門知識を持った外部人材を積極的に取り込む狙いだ。自動車課やサイバーセキュリティ課などの6ポストを対象とする。担当する政策分野をあらかじめ指定した管理職を、外部に大量に開放するのは珍しい取り組みという。
公募するのは、スタートアップの育成政策などを担う新規事業創造推進室や、中小企業庁の海外展開支援室などの管理職。参事官や室長、企画官などへの起用を想定しているが、具体的な役職については応募者の能力や経歴に応じて決める。
民間企業や新技術の育成を担当分野に持つ経産省では、専門的な知識や経験が政策立案に欠かせない要素となっている。
(日本経済新聞 2月28日)

行政機関が民間出身者を要職に起用する例としては、一時、学校長への起用がブームになりかけた。だが、なかなか成果が見えないという。
学校長に限らず、公務員は収益など付加価値を創出するのではなく、制度の枠内で法令に基づいて予算の執行を行ない、年度内に予算を消化しつくすことが使命である。政策策定には議会との折衝をともない、政権与党との関係保持が大前提になる。思考原理も行動原理も民間人とは違う。

人事でも大抜擢がない代わりに、リストラも降格も、業務上の失敗による解雇もない。処遇に安定性はあるが、高い勤労意欲の維持は容易でない。
たしかに制度設計・執行には民間の知見を導入しないと、机上の空論になりかねないが、民間人が行政機関に入っても、がんじがらめの職場で知見を活かせるとは限らない。経産省で民間出身者が活躍するには、制度に拘禁されず、付加価値を創出できる環境が提供されなければならないが、たぶん難しいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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