2019/03/02
日本の転職市場で、IT(情報技術)関連の人材を中心に中国などアジア諸国と比べ給与の割安感が強まっている。国際的な人材の獲得競争が激しい最高情報責任者(CIO)の中国の給与最高額は日本の7割高だ。優秀な人材の採用に向け、日本企業は賃金制度の見直しを迫られている。
(日本経済新聞 2月8日)
日本企業がAIなどの先端技術分野で優秀な技術者の獲得競争に苦戦していることは、よく知られている。しかし、今や、AIに限らず、ICT分野の多くの領域で技術者の確保が難しくなってきた。10年前までは、ソフト開発を中国、インドに移転して、技術者の人件費を削減してきた日本企業だが、今では、中国やインドの企業が安価な技術者を日本に求めるようになっており、立場は逆転している。
この状況に、一部の日本企業は危機感を抱いて、高額な報酬で技術者の獲得に乗り出しているものの、その「高額」とは、今までの日本の賃金体系から見て高額という程度であって、世界の労働市場から見て高額という程ではない。結果、スター級の技術者の争奪戦では、勝利を収めることが難しい。
そもそも、日本企業では、技術者の処遇に、能力や成果はさほど影響を与えない。画期的な特許を取った技術者に報奨金が出ることはあっても、給与が倍増することはない。一方、世界の労働市場では2倍増は普通だ。日本企業が、この伝統的な人事制度の発想から抜けきれないと、世界の優秀な人材の争奪戦に勝ってドリームチームを作るのは難しい。日本でも、スポーツ選手や芸能人なら10倍増でも珍しくない。日本企業だからダメなのではなく、必要なのは発想の転換だ。
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