2019/03/01
月末の金曜日に仕事を早く終える「プレミアムフライデー(プレ金)」が始まってから2年が経過した。当初の目的である消費拡大には一定の効果が出ているものの、通常より早く退社した人の割合は約2割にすぎないのが現状だ。政府と経済界が始めた鳴り物入りの取り組みだが、導入の動きは広がりを欠いている。
経済産業省などが今年1月まで継続実施した調査では、プレ金当日に早く退社した人の割合は平均11.4%。月末の金曜日ではなく別の日に振り替えて早退した人を含めても20.7%にとどまった。大企業や都市圏での割合が高かった。
(共同通信 2月22日)
給与が増えない限り、プレミアムフライデーを導入しても退社後の消費に向かわず、帰宅時間が早くなるだけに終わる。これは当初から予想されていた自明の結末である。
プレミアムフライデーを適用された社員も(金を使わせるため)という意図を了解しているのだから、早い時間に退社できても(そうはいかない)と抵抗するだろう。小売店や飲食店のプロモーションなら、意図が透けて見えても財布を開くが、政策意図には引っかからない。それが健常な感覚である。
いくら景気浮揚策とはいえ、(金を使え)と退社後の行動基準にまで手を突っ込まれたら、誰しも警戒するのではないか。
プレミアムフライデーに限らず、個人の価値基準に対する政策的な介入ほど余計なものはない。「人生100年」「生涯現役」「地域デビュー」も、国家による人生設計の価値基準への介入である。これらの政策を後押しする報道は増えるだろうが、どれだけのシルバー層が乗せられるのか。大方は冷静に聞き流すように思う。
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