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会社より社会を関われ サイボウズ・青野慶久社長

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自由な働き方を進めるソフトウエア開発のサイボウズは2018年12月期まで3期連続で増収増益で、企業の成長も続いている。社員のやる気を引き出すコツは何か。青野慶久社長に聞いた。

――働き方改革の契機は何だったのですか。

「離職率が28%まで上昇したこと。送別会を毎週開くほどだった。給料を上げるといっても通用しないと実感し、働き方の改革に乗り出した」
「多様な働き方を容認してみると、社員の創造性が高まったり、社外に人脈が広がったりと様々なリターンが生まれた。これほどの成果を得られるとは思わなかった」

――働き方改革を進める上で大事にしていることは何ですか。

「一つは理想への共感だ。我々は素晴らしいグループウェアを通じ、チームワークがうまく機能する社会をつくるという目標に突き進んでいる。もう一つは嘘をつかない、隠さないという公明正大さだ。隠れて副業し、嘘をついてサボれば不信感が高まる」
(日本経済新聞 2月20日)

公開データによると、サイボウズの従業員数は586人(連結)で、平均年齢は34.6歳、平均年収は595万円。けっして高給ではないが、30代半ばでこの水準なら過不足のない生活を送れる。これに副業で稼ぐ収入が加われば、貯蓄に充当できて、生活設計を描きやすくなるだろう。

自由な働き方を認めて社員の定着率が向上したことは、自営業に近い働き方が多くの社員に望まれているからからだ。そもそも働き方の基本は自営であり、管理統制の要件を外していけば自営に近づいていく。
サイボウズのような取り組みが普及すれば、管理統制型の企業は就労形態の見直しに迫られるに違いない。管理統制型の企業が社員に求める組織への隷属は、人心に拒絶されるようになるだろう。

どこまでライフスタイルにワークスタイルを取り込めるかどうか。一歩踏み込んだホワイト企業のあり方をサイボウズは問いかけている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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