2019/02/12
転職支援会社「エン・ジャパン」が昨年5月に公表した20~40代の正社員に対する意識調査では、副業に「興味がある」と回答した人は88%に上った。
ただ、企業側への浸透は鈍い。経済産業省関東経済産業局が関東近郊の8千社を対象に昨年7~8月に行った調査では、大企業、中小企業ともに「取り組む予定はない」とする回答が約8割となった。
理由としては「業務に専念してもらいたい」「疲労による業務効率の低下が懸念される」とした回答が多く、労働者側の希望とは大きく隔たる結果となっている。
みずほ総合研究所の風間春香・主任エコノミストは「労働者が2つの会社で雇用契約を結んだ場合、どちらが勤務時間を合算するのかなど、まだ制度として定まっていない部分があるため、様子見をしている企業が多い」と指摘。「制度が見えてくれば、副業を容認する企業はもっと増えるのではないか」と話した。
(産経新聞 2月2日)
副業が普及しない理由は、調査への回答には示されないは、企業側のホンネが忠誠心を求めているからだ。社会保険料を負担してあげているのに、なぜ他社の仕事を引き受けるのか。他社の仕事をしたいのなら、正社員から業務請負契約に切り替えてほしいというのがホンネではないのか。
一方、厚生労働省が副業規定のガイドラインをまとめるなど副業解禁時代にあって、副業禁止企業の社員は、副業を禁止するのなら給料を上げてほしいと望むだろう。やがて副業解禁の企業への転職も発生しかねない。
副業禁止と副業解禁は、拘束したい側と解放されたい側の対立関係にもなりかねない。終身雇用の時代が終焉した以上、社員は雇用リスクを抱えながら勤務しているのだから、収入源の複数化を指向するのはやむをえない。
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