2019/02/04
法務省と厚生労働省は25日、三菱自動車(東京都)とパナソニック(大阪府)など4社について、国に提出していた技能実習計画の認定を取り消したと発表した。三菱自は実習計画と異なる作業をさせていたこと、パナソニックは労働基準法違反が確定したことが問題とされた。4社は5年間、新たな実習生の受け入れができなくなり、新在留資格「特定技能」の外国人も同じ期間、受け入れられない可能性が高い。
法務省によると、三菱自は岡崎製作所(愛知県岡崎市)で溶接作業を学んでもらうために受け入れたフィリピン人の実習生28人に、実習計画にはなかった車の部品の組み立てなどの作業をさせていた。同省は技能実習適正化法違反に当たると判断し、27人は認定を取り消し、残りの1人は計画通りの作業に従事させるよう、改善命令を出した。27人のうち24人はすでに帰国し、残りの3人は別の企業に転籍したという。
同製作所での同様の不正は実習生の受け入れを始めた08年から始まり、国の調査が入った昨年5月まで続いていたという。今回の処分によって、三菱自で働いている残りの実習生は計画で示された期限が切れると、別の企業への転籍や帰国を余儀なくされる。同省は三菱自に実習生を派遣していた監理団体「協同組合フレンドニッポン(FN)」(広島市)や、FNから実習生派遣を受けていた他の企業についても、技能実習適正化法違反の疑いで調査している。
(朝日新聞デジタル 1月25日)
外個人技能実習制度の問題点に、実習という制度ゆえに転職ができなという制約がクローズアップされてきた。実習生に対する人権問題が多発しているのは、転職不可能という足元を見透かして、理不尽な状況を強いた実習実施者が後を絶たないからだ。自社に拘束したので何でもできるという低劣な発想が湧いてきて、人権問題を引き起こすのだろう。
一方、実習実施者にとっては、実習計画書以外の業務をさせると違法行為になってしまうので、ローテーションを組めないという。実習生にとっても、実習実施者にとっても、技能実習制度は“がんじがらめ”なのだ。
しかし、この制度を職場の事情に合わせて柔軟に利用すれば、三菱自動車やパナソニックのような事態に陥ってしまう。使い勝手の悪い制度であることが改めて知らされた事例である。
この時期に認定取り消し処分を下したことは、技能実習生から新在留資格への移行を促す意図も見え隠れしている。
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