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急増する「退職代行サービス」。料金や引き継ぎレス問題を叩く前に

20181212

退職代行サービスは、退職を希望する人が3~5万円程度の費用を支払うこと
で、会社への退職の申し出を代行してもらうサービスだ。「今すぐ辞めたい」「苦痛から解放」「退職成功率100%」といった痛烈な売り文句が並ぶサイトから、メールやLINEで簡単に申し込みできる。
近年は未曽有の求人難により、どの職場も後任の採用が難しいため、退職の申し出があるたび必死の引き留めが行われる。強固な引き留めのあまり、転職先が決まっていたのに退職できないケースや、上司がのらりくらりはぐらかして退職届が受理されないケースもある。たとえ退職届が受理されたとしても、転職先の入社日前日まで残務処理に追われ、疲労しきった状態で新たな職場に出社するケースも少なくない。
3~5万円で、このような前の職場とのやり取りや、モチベーションを失った仕事の処理から解放されるなら安いと判断する人も少なくないだろう。しっかり休み、エネルギーを新しい職場に向ける方が良いと考えるのもある意味合理的だ。
(BUSINESS INSIDER 12月5日)

強面の上司の前で蛇に、睨まれた蛙のようになってしまう社員にとって退職代行サービスは有効だろう。退職の交渉に無駄な神経と時間を費やすぐらいなら、3~5万円を支払って、代行サービスを利用したほうが合理的かもしれない。
本来、退職の交渉も社会人の必須事項だが、代行サービスが登場したのだから利用すればよい。
このサービスは弁護士事務所の副業に向いているのではないか。会社によっては、あれこれと難癖をつけて退職金を不当に減額してくる例も少なくないが、債権回収の代行には弁護士資格が必要である。
昔からニュービジネスのネタは行政サービスに潜んでいたが、退職代行サービスは労働基準監督署の所管業務をビジネス化したような内容だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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