2018/10/17
内閣府と文部科学省が7~8月に行った就職活動に関する調査で、経団連の指針で定める面接の解禁日を守っていない企業が62・4%に上った。前年の調査より3・1ポイント増えており、ルールの形骸化が進む実態が浮き彫りになった。
全国の企業約1千社と、大学生・大学院生計約1万人から回答を得た。
経団連の指針では、会社説明会は大学3年生の3月、面接は4年生の6月以降に始めるよう加盟企業に求めている。政府はほかの経済団体にも同様の対応を求めているが、いずれも強制力はない。
指針を守っていない理由(複数回答)では「他社より早く学生に接触するため」が56・5%で最多だった。従業員300人以上の企業では指針を守っていない企業の割合が58・1%だったが、300人未満の企業では66・3%に上っていた。
学生の就職活動の長期化も進んでいる。今の指針が適用された2016年当時と比べ、「3カ月以内程度」で就活を終えた学生の割合は9・1ポイント減の37・2%だったのに対し、「9カ月程度以上」は6・5ポイント増の13・5%となった。
(朝日新聞デジタル 10月10日)
就職活動の期間設定は、学生の本分は何かという問題に行き着く。企業が望むのは専門知識よりも、知的能力である。
10年近く前になるが、山形大学医学部長の嘉山孝正氏(現山形大学医学部参与)の講演を聞く機会があった。嘉山氏は医学部教育に触れ、「医師は富裕層から貧困層まであらゆる階層と向き合うので、リベラルアーツが欠かせない。学生に必読書を指定して感想文を提出させている」という趣旨の発言をした。
この講演で、嘉山氏は学生に指定している書籍を紹介した。私のメモから漏れている書籍があるかもしれないが、以下を挙げた。
『知の技法』(小林康夫/舟曳建夫編)『考えあう技術』(苅谷剛彦/西研)『医療の限界』(小松秀樹)『法とは何か』(渡辺洋三)『マクベス』第一幕第七場(シェイクスピア)『人間的、あまりに人間的』(ニーチェ)『南原繁の言葉』(立花隆編)『権利のための闘争』(イエーリング)『アダム・スミス』(堂目卓生)『新訳アーサー王物語』(ブルフィンチ)。
就職活動の期間がどう設定されようと、読書だけは怠らないほうがよい。
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