2018/10/09
非管理職の会社員の6割が管理職になりたくないと考えていることが、厚生労働省が28日発表した2018年版「労働経済の分析」(労働経済白書)でわかった。管理職の負担が増えていることが背景にありそうだ。
独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が2~3月に正社員を対象に実施した調査(1万2355人が回答)を、厚労省が分析した。
役職に就いていない社員らに絞って昇進への考えを調べたところ、「管理職以上に昇進したいとは思わない」が61・1%に上り、「管理職以上に昇進したい」は38・9%にとどまった。
昇進を望まない理由(複数回答)では、「責任が重くなる」が71・3%で最も多かった。「業務量が増え、長時間労働になる」が65・8%、「現在の職務内容で働き続けたい」と「部下を管理・指導できる自信がない」が57・7%で続いた。
(朝日新聞デジタル 9月28日)
管理職志向が少ない理由は、何よりも勤務先の上司にロールモデルとなる人物が少ないからだろう。業務の負荷と報酬を比べれば、管理職は割に合わないのだ。肩書が欲しければ閑職志向を強めるが、いまや体裁よりも実質である。
手取りが2倍も開かないのなら、心身への負荷を最小化できる立場を維持したい。そう考えることは勤労意欲の不足ではなく、会社員の危機管理として妥当である。
かりにメガバンクで出世競争に参加しても50歳を過ぎれば、出向・転籍か、選択定年・再雇用かでキャリアを終える。それまでの競争が報われたと実感できるかどうか。
この現実を目の当たりにすれば、あえて負荷を背負い、心身を消耗させる覚悟も失せてしまうだろう。それでも有給休暇を取りにくいという風潮が蔓延しているのは、いまだに滅私奉公が社会意識のように定着しているからである。
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