2018/10/05
丸紅は10月から静岡銀行など地方銀行8行に、国際業務などに精通した中堅社員を派遣する。地銀の海外進出やM&A(合併・買収)を支援し、収益底上げや新たな事業機会創出につなげる。丸紅は国内事業の強化を狙っており、地銀の持つ地域ネットワークやノウハウを吸収する。銀行が企業に人を派遣するケースは多いが、大手企業が地銀に人材を派遣するのは珍しい。
10月から順次、静岡銀や常陽銀行、山口フィナンシャルグループ(FG)など8行・グループに1人ずつ派遣する。出向するのはプラントや紙パルプ部門の社員や海外駐在者経験者などで、30~40歳代の中堅社員。出向先の地銀では2年間、主に法人営業部門で行員として勤務する。大手企業が地銀に人材を派遣するのは初の取り組みという。
出向者は地銀と秘密保持契約を結び、可能な範囲で地方企業の経営課題やニーズを丸紅に伝える
(日本経済新聞 9月27日)
銀行員は50歳前後になると融資先に出向し、1~2年後に転籍するパターンが通例だった。民間企業間の移籍なので天下りとは異なるが、格上から格下に出向・移籍する人事は天下りと同様の力関係が働いている。
この通例に対して、丸紅から地方銀行に社員を派遣する人事は“逆流”にも見え、銀行と事業会社との力関係が逆転する兆しなのだろうか。
ただ、この記事で報じられた人事は2年間の派遣なので“天上がり”とは違う。海外進出とM&Aのコンサルタントを2年間、銀行に常駐させるような人事である。しかも丸紅から派遣されるのは50歳を過ぎた社員でなく、30~40歳代の第一線世代である。
銀行にとっては海外進出やM&Aのノウハウが自前の人材では対応できないことを表明したようなもので、メンツに固執している状況ではないのだろう。
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