2018/10/01
副業を持つ地方公務員が存在感を示し始めた。制度化で取り組みを促す自治体も現れた。狙いは副収入ではない。多様なキャリアのあり方を身をもって学ぶことが、本業の意識向上につながっている。地域活動の担い手として期待を集めるだけでなく、地域PRに貢献する例も出てきた。
「読まれてるぞ」「周り見て準備しとけよ」。奈良県生駒市のサッカーチーム「F.C.ゴレイロ」。パス回しを練習する小学生に、吉尾大輔さん(34)が鋭く指示を飛ばす。吉尾さんは市消防本部の消防士。勤務にはサイクルがあり、休日とチームの練習日が合うとグランドにコーチとして「出勤」する。
(中略)
市は「公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動」などを副業と規定する。今年8月には活動エリアを市外にも広げた。地域活動の活性化や職員の課題解決能力向上が狙いで、消防職5人、事務職の1人がスポーツのコーチやNPO講師として活躍する。
(日本経済新聞 9月22日)
この記事によると吉尾大輔さんの報酬は、月4~5回の指導で1万円程度だという。報酬を受け取る限り副業には違いないが、交通費相当の金額だからボランティアに近い。生駒市は職員の副業規定を「公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動」と定めているが、肝心なのは職務権限がおよぶ事業領域を副業の対象から外すことである。
たとえ「公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動」でも、職務権限がおよぶ事業領域では間違いが起きやすい。職務権限がおよばなければ、公益性や地域貢献が認められない領域でも、公序良俗に反していなければ問題はないのではないか。
同じ公務員でも、大学教員は事実上の自由業に近い。講演や執筆などの副業を自己裁量で行なっているが、研究成果のアウトプットという意味では、エッセイの執筆でも本業の範ちゅうに入るのだろう。
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