2018/08/10
今春の大学卒業者約56万5000人のうち、77.1%に当たる43万6152人が就職したことが2日、文部科学省が発表した今年度の学校基本調査(速報値)で分かった。
前年度比で1.0ポイント上昇し、8年連続の増加となった。同省は「景気が好調で求人が増えている」と分析している。
大卒の就職率は、リーマン・ショックの影響で2010年度に60.8%まで急落。その後は上昇を続け、今春は25年ぶりの高水準となった。卒業者のうち、前年度比1.2ポイント増の74.1%(41万9086人)が正規雇用だった。
一方、契約社員や派遣労働者などの非正規雇用の割合は3.0%、パートやアルバイトなどは1.5%で、各0.2ポイント、0.1ポイントの減。大学院などへの進学は0.1ポイント減の11.8%(6万6825人)で、8年連続の減少となった。就職も進学もしなかった人は0.8ポイント減の7.0%だった。
(時事通信 8月2日)
大学院への進学が8年連続で減少したのは、経済的な困窮が想定されるからだろうか。
非常勤講師として5つの私立大学で週に計11コマを担当している女性に収入を教えてもらったら、過酷な実態だった。
「これまでに最も多いコマ数です。非常勤講師の場合、講義数をギュウギュウに詰め込んでも週12~14コマが限界でしょう。年収は300万円台の後半にしかなりません。どの大学でも週2コマ単位で講義することが基本ですが、私立では、1コマ当たりの報酬は月額2万5000円前後が相場です。国公立になると、報酬はもっと下がります」
ある私立大学の報酬規程は、講師の年齢によってランキングされ、30歳以下が1号俸で2万3300円、最高額は61歳以上が対象の6号俸で2万9800円だ。この非常勤講師は「ある程度の余裕をもって週8~9コマで済ませたくても、それでは生活ができないのが実情です」とこぼした。
この実態が改善されない限り、大学院への進学が減少をつづけるのは当然だが、大学経営はすでに斜陽産業になっている。非常勤講師の給与水準が改善されることは期待できないのが現実だ。
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