2018/06/19
長時間労働などの電話相談「過労死110番」が今年、30年を迎えた。大阪発の取り組みは、働く人やその家族の悲痛な訴えを受け止め、全国に拡大。16日には、31回目の一斉電話相談が31都道府県で実施される予定だ。
過労死110番の最初の相談者、平岡チエ子さん。この春、正社員になった孫娘には「仕事に命をかけちゃダメ」と伝えた
初の110番は1988年4月23日。大阪の弁護士や医師らでつくる大阪過労死問題連絡会が開設した。まだ過労死という言葉が浸透していない時代で、中心メンバーの松丸正弁護士は「どれほど広がりのある問題か、最初は半信半疑だった」。だが、開始直後から電話は鳴りっぱなしに。反響の大きさから、早くも2カ月後には大阪や東京、福岡など数カ所で再び実施された。昨年6月の一斉相談は32都道府県で行われ、常設窓口を設ける所もある。
(朝日新聞デジタル 6月13日)
過労死リスクの高い職業に医師が挙げられる。医師法第19条第1項に「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められているため、患者の求めを断わって勤務時間を短縮できないのだ。
この法律が制定されたのは昭和23年。以降、「正当な事由」が論議の的になったが、30年には厚生省医務局課長回答で「単に軽度の疲労の程度をもってこれを拒絶することは、第19条の義務違反を構成する」「『正当な事由』のある場合とは、医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合に限られる」と明記された。
その後、38年の消防法改正で救急業務が消防業務に法制化され、救急搬送能力が増強された。一方で病院の受入体制整備が追いつかず、40年代後半には“たらい回し”が社会問題に浮上し、医師の長時間労働はいわば既定路線になった。
応召義務を問い直さないと、医師の長時間労働問題に是正の目途はつきにくい。
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