2018/05/31
人材サービス各社が、大手企業で幹部経験を持つ人材のスタートアップ企業への派遣や紹介需要を取り込んでいる。パソナグループの顧問紹介サービスは2017年度に2倍に達し、リクルートキャリア(東京・千代田)なども実績を伸ばしている。働き方改革や副業解禁で人材が多様になってきたことや、スタートアップでも企業統治や危機管理の重要性が増していることが背景にある。
パソナは部長以上の幹部経験者を企業に顧問として紹介するサービスを手掛ける。このサービスを利用した創業10年未満のスタートアップの数は17年度末に約500社となり、前年度の約2倍に達した。
週1回程度の頻度でアドバイスをする業務で、リスクマネジメントや情報セキュリティー、不祥事に対応できる広報などの経験を持つ人材を求められるケースが多い。顧問を務めた後で、常勤の役員に就くこともある。
(日本経済新聞 5月22日)
大手企業の幹部経験者はスタートアップ企業には“ブランド人材”に映る。実際、スタートアップ企業に転じて、培ってきたノウハウの移植を成功させて活躍する人は多い。ただ、顧問紹介会社の幹部によると、営業顧問の場合、成功する例が意外に多くないという。
「失敗しているケースでは、顧問を雇う側、顧問の人材、双方に問題があります。雇う側が顧問に期待するのは新規顧客の開拓で、顧問を歩合給のセールスマンのように見なすことが多いので、数カ月経っても売り上げにつながらないと契約解除を検討するようになるのです。最低1年は様子を見ていただきたい。
一方、顧問の側は、大手企業在籍時に豊富な人脈を築いていても、自分が第一線から引いたように相手も第一線から引いていることが多く、人脈が過去形になっていることが少なくありません。かつての部下につないでもらって営業をかけても、引退した元上司からの紹介では、現役社員にとって優先順位は低くなります。
営業顧問を希望する人に対しては、自分が過去の人になっていないかどうかを見つめ直していただくことをお勧めします」
顧問という立ち位置も中途半端である。業務成果を求めないと社内評論家に転じかねない。
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