国家戦略特区での労働紛争を未然に防ぐために厚生労働省が4月にまとめた「雇用指針」が、一般のベンチャー企業にとって労働契約や就業規則見直しの参考資料になるとの指摘が出ている。複雑な日本の雇用ルールを国として初めて体系的に整理。紛争防止に向けた対応策などを具体的に指南しているからだ。
雇用指針は、国が戦略特区への進出を促す外資系企業やベンチャー企業での紛争を想定。既存の裁判例や現状の雇用ルールを分析し、アドバイスをまとめている。策定の背景には、わかりにくい雇用ルールが企業の投資や開業の足かせの一つになっていることがある。
指針は、長期雇用を前提とする典型的な日本企業(内部労働市場型)と、必要に応じて人材を採る外資・ベンチャー企業(外部等同市場型)に人事労務を管理を2分類。紛争になりやすい解雇について詳しく解説している。(日本経済新聞 6月23日)
雇用紛争リスクの大きな発生要因は雇用の入口にある。多くの企業が採用時に職務内容や勤務地、就労時間、賃金体系、解雇用件などを書面で説明し、納得を経て合意に至るというプロセスを省いている。
(うちに合わなければ辞めさせればいい)という安易な雇用意識がすっかり染みついてしまったのである。人手不足で採用コストを看過できないような中小企業でも、この体質は改善されていない。
むしろ中小企業ほど簡単に雇い入れて、簡単に辞めさせる傾向が昔から根強い。そういう人事を繰り返しているからこそ、いつまで経っても発展しないのだが、この指摘をぶつけると多くの社長は「毎月の資金繰りに追われて、健全な人事どころではない」と反発してくるものだ。
窮状はわかるが、そこから抜け出せないのは、企業としての限界を意味している。
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