2018/04/06
命を救うためなら長時間労働は当たり前。そんな医師の世界に働き方改革が及んでいる。今国会に提出予定の働き方改革法案では医師にも時間外労働の上限を設ける。働き過ぎ防止は大切だが、医師の残業削減に取り組む病院では、外来診療の削減などサービスの低下も見られる。安心できる医療体制と医師の働き方改革は両立できるのか。
(中略)
厚生労働省によると病院常勤医は週平均56時間28分働く。所定労働時間を週40時間で換算すると、時間外労働は年850時間超。労基署の定期監督結果では、医療保健業の労働期間違反率は16年で36%と全体平均の21%を上回り、多くの病院が対策を迫られる。
(日本経済新聞 3月30日)
全日本病院会会長の猪口雄二氏は、今年1月に都内で開かれたシンポジウムで、医師の長時間労働問題に斬り込んだ。
「我々の若い頃は当直をやって手術をして、その翌日も当直をやって全然寝ていないというのが当たり前の姿でした。では、今はそうなっていないかといえば、多くの救急医療機関はそうなっています」
もし夜勤を時間外労働に扱って、看護師のように2交代にしたらどうなるか。
「おそらく日本中の二次救急や産科の現場は本当に崩壊すると思います。崩壊を防ぐために、どこまできちんとした議論ができるか。どんどん労基署が多くの病院に入って医師の勤務時間について『けしからん!』と指摘した結果、救急を廃止する病院も出ました。救急に対する姿勢まで代えさせてしまう問題なので、現実を見ながらの法的整備に、どこで整合性を取るかが大切であると認識しています。
働き方改革による労働時間の上限規制は、医師に対しては5年の猶予期間が設けられるが、その間に業務負担の軽減をどこまで実現できるかが焦点である。
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