2018/03/28
定年を65歳以上に引き上げる企業が徐々に増えている。厚生労働省の調査によると、定年を65歳以上としている企業は昨年、約18%で、10年余りで約3倍に増加した。ベテラン社員の意欲を高めるとともに技能や経験を若手に継承する狙いがある。
(中略)
定年延長する企業が相次ぐのは、厚生年金の受給年齢の段階的な引き上げを受け、13年に改正高年齢者雇用安定法が施行されたためだ。同法は希望者全員が65歳まで働ける制度の導入を義務づけており、企業は「65歳以上への定年引き上げ」「定年の廃止」「65歳以上の継続雇用制度の導入」のいずれかを実施する必要がある。ただ、定年延長は総人件費の増加につながる可能性があり、正社員とは賃金体系の異なる、再雇用などの継続雇用制度を選ぶのが大半だ。
(読売新聞 3月17日)
日本老年医学会が高齢者の定義を65歳から75歳に引き上げる提言を発表して以降、年金受給開始年齢を70歳に選択できる案が浮上した。人手不足の常態化を考えれば、定年が70歳以上に引き上げられるのは時間の問題だろう。
健康寿命の延伸というテーマも定年引き上げに拍車をかけ、生涯現役が当然という空気は支配的になってゆく。目下のところ75歳を過ぎると要介護者が増えるが、就労の継続と医療介護の発展によって、要介護者が増える年齢はさらに数年延びるのではないか。
老後という時期がほんの数年に縮まることは、政府にとっても国民にとっても喜ばしい現象だが、官製ライフスタイルとは一線を画す層も少なからずいるはずだ。行政や有識者が勧める地域デビューで苦悶するよりは、図書館にこもっていたほうが気楽でよいと考えるのは自然だろう。
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