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「省庁の憧れ揺らぐ」国家公務員志望の学生困惑

東京・霞が関では13日、国家公務員を志望する学生が各府省で現役職員と話し合うイベントが開かれた。森友学園への国有地売却を巡る決裁文書の書き換え問題に、学生たちは困惑。「考えられない」「(省庁を目指す)モチベーションが下がった」と憤る学生がいる一方、「上司から命じられたら従うかも」との声も漏れた。
 
総務省や厚生労働省を志望する九州の国立大の男子学生(22)は「熱い気持ちで国家に貢献するあこがれの存在」として就職活動は国家公務員1本に絞ってきたが、「今回の問題で気持ちが揺らいだ。合格したら悩む気がする」と複雑な表情。
自身が上司に書き換えを命じられたら「良くないと思いながらやってしまいそうだが、おかしいことはおかしいと主張しないと公務員の信頼が失墜する」と考えながら答えた。
(日本経済新聞 3月13日)

高給に憧れて国家公務員をめざす学生はいないだろうが、国家公務員は経済的には勝ち組である。平均年収を比べると、国家公務員は約670万円、上場企業社員は約600万円、会社員は約450万円。相当な格差があるうえに、公務員にはリストラがない。
程々の使命感をもって奉職すれば傍目には結構な職業にも見えるが、森友学園の一件を突きつけられると、さすがに戸惑うだろう。たとえ真相が判明しなくとも、政治に翻弄され、理不尽を強いられる現実は手に取るように分かる。

政権の維持は中央省庁の責務のひとつだが、その大義のために個人が犠牲に追い込まれることは御免こうむりたいと考えるのが普通だ。理不尽を強いられるのなら、相応の見返りが必要だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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