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厚労省、高齢者に介護への就労促す

厚生労働省は人手が足りない介護事業の人材確保に向け、高齢者に就労を促す取り組みを始める。会社を定年退職した人などを対象に、地方自治体を通じて介護の入門研修を施すとともに、修了者には人材を募集している介護施設への仲介も手掛ける。介護人材は2025年に38万人不足するとの推計もあり、就労意欲のある高齢者の開拓が必要だと同省はみている。

15~64歳の生産年齢人口の減少が続く中、高齢者の就労拡大は業界を問わず必要性を増している。体力が必要で若い人が求めてきた介護業界でも需要が高まっているが、高齢者側ではサービスの提供の仕方や緊急時の対応が難しいという。制度自体がわかりにくく、及び腰になるケースもある。
(日本経済新聞 2月27日)

再雇用を終えた65歳の知人が、都内のハローワークに失業給付金の手続きに行ったら、担当係から「介護の仕事をする考えはありませんか?60歳以上の求人が増えています」と打診されたという。求職者でないことは明かにもかかわらず、まずが声をかけてみて、関心を持ってもらおうという考えなのだろう。
この知人はOA機器メーカーの営業職を長く務めていて、介護職は門外漢である。リタイヤ生活を楽しむことに決めていたので、介護職に水を向けられても、まったく関心が湧かなかったが、「私の経歴を聞いてきて、介護職に誘ってくるとは、よほど困っているんでしょうね」と話す。

ただ、労働力不足に悩むのは介護業界だけではない。経済産業省の推計では、IT人材が2015年時点で約17万人が不足し、30年には約59万人に膨らむ。建設業も深刻で、インテリジェンスHITO総合研究所によると、25年に39万人が不足する。どちらも介護業界と同等か、それ以上の労働力不足に瀕している。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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