2018/02/21
物流網が危機的状況に陥る中で、今春の異動期は希望のタイミングで引っ越しできない多数の「難民」が発生する恐れが強まっている。引っ越し会社は企業に3~4月の繁忙期から転勤時期をずらすよう要請を始めた。雇用逼迫の時代、春に集中する人事異動など企業の重要イベントを分散させ、日本全体の生産性向上につなげる好機かもしれない。
「今春は企業から依頼される引っ越しを100件以上断るかもしれない」。引っ越し中堅のアップル(東京・中央)の文字放想社長の表情は険しい。年商12億円の同社が抱えるトラック運転手は70人弱に上る。
ところが昨年、1割の運転手がヤマト運輸などの宅配業者に移籍。宅配が値上げ労働条件見直しに踏み切り、好待遇を求めて人材が流出した。
学生アルバイトも厳しい仕事を敬遠しがちだ。「1日1万3千円を支払うとしても学生が来ない。今春は特に距離が長い転勤の仕事は受けられない」と文字氏。運転手の引っ越し作業が1人あたり1日2件から3件に増やして生産性を高めようとしているが、焼け石に水となりそうだ。
(日本経済新聞 2月11日)
昨年、知人が引っ越し会社を利用して印象に残ったのは、人手不足よりも受注競争の激しさだったという。2社から見積もりを取ったのだが、その1社の担当者が、もう1社の提示額を聞いてきて、知人が答えたところ、当初の提示額より10%引き下げた額を示してきた。
知人が「その金額ならお願いしましょうか」と切り出したとたん、担当者は、10%引き下げの条件として、もう1社に対し、その場で断りの電話をかけるように要請してきた。知人は受け入れたうえで理由を問うと、こう答えてきたという。
「人手不足のなかでドタキャンが発生すると、運転手とアシスタントの手配が間に合わなくて、引っ越し作業を延期せざるをえなくなってしまうのです。だから乱暴なようですけど、営業担当が他社への断わりを確認させていただいています」
物流業界の労働力不足解消の道筋は、当面は、自動運転の実用化にかかっているのではないか。ヤマト運輸-とディー・エヌ・エーは昨年4月から、神奈川県藤沢市で配達車の自動運転実証プロジェクト「ロボネコヤマト」に取り組んでいる。同様の取り組みは急ピッチで進むだろう。
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