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40歳以上の労働者、転職による賃金の減少鮮明

内閣府は、景気の現状などを分析した報告書「日本経済2017―2018」(ミニ白書)を公表した。
転職について調べた結果、年齢が40歳以上では、転職による賃金の減少が鮮明となった。
 
転職前後の賃金変化率について、04~16年にわたって分析した。正社員などの一般労働者が別の正社員職などに転職した場合、40歳以上の年齢層では、調査期間中、常に賃金が減少していた。
 
一方、29歳以下では、ほぼすべての時期で、賃金が増えていた。年齢層が若いほど賃金の変化率は高い傾向を示した。白書は、「年齢が転職後の賃金上昇率を大きく左右している」と指摘した。
 
16年の転職数は306万人で、09年(319万人)以来、7年ぶりに300万人を超えた。
(読売新聞 1月21日)

一般論だが、40歳を過ぎればビジネスパーソンとしての伸び代が縮小していく。昇給ペースも鈍化するのだから、スカウトでない限り、転職して給与が下がるのはやむをえない。 

しかも40歳以上で、ステップアップの転職は少なく、多くは食い扶持の確保が目的である。募集企業は戦力として期待しながらも、給与については冷酷に足元を見ている。転職市場は29歳以下が買い手市場なら、40歳以上にとっては、いまもなお売り手市場なのだ。

40代は教育費と住宅費などでもっとも金のかかる年代だが、転職すれば収入が下がってしまう。転職せずに現職のまま50代に入っていくのが、生活設計のうえでは望ましいが、新陳代謝を図るには世代交代に着手せざるをえない。

だが、転職先で居場所を安定できるとは限らないから、閑職に追いやられても、現職に居座りつづけたほうが現実的ではないのか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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