2018/01/25
労災による死亡と認定された外国人技能実習生が2014~16年度の3年間で計22人に上ることが14日、厚生労働省のまとめで分かった。大半が事故とみられるが、過労死も1人いた。政府統計で実習生の労災死の実態が明らかになったのは初めて。労災保険の給付対象となる休業4日以上の労災件数は3年間の平均で年475件だった。
実習生は職種が限られており、労災死比率が日本の雇用者全体の労災死比率を大きく上回っている。実習の名の下に日本人より危険で過酷な労働を負担している現実が示された。
専門家は「労災隠しが横行している」と指摘しており、実際の件数はさらに多い可能性がある。新たな職種として介護が加わるなど拡大を続ける実習制度だが、制度の存廃も含め、在り方が抜本的に問われそうだ。
厚労省によると、死亡した実習生のうち労災認定されたのは、14年度が8人、15年度が9人、16年度が5人。労働基準監督署に報告があった実習生の死亡事案の中で、労災認定されたものを集計した。実習生の国籍や都道府県別の人数は不明。
(毎日新聞 1月15日)
外国人技能実習制度は、国連やILO、米国国務省から人身売買として批判されつづけてきた。米国国務省は17年6月に次のように報告した。
「技能実習制度における労働搾取を目的とする人身取引犯罪の可能性に関して、非政府組織(NGO)からの報告や申し立てにもかかわらず、政府は、いかなる技能実習生も人身取引被害者として認知せず、また技能実習生の使用に関わったいかなる人身取引犯も人身取引犯として訴追することはなかった」
労災死問題は、改めて制度の闇を浮かび上がらせた。実習生の雇用先の多くは零細規模の企業で、雇用の動機は、制度の趣旨である「技能移転」でなく人材不足対策である。人材不足対策として外国人人材の雇用は不可欠だが、技能実習制度の見直しは必要だ。タテマエ=技能移転とホンネ=人材不足対策が、かい離し過ぎている。
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