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医師の残業、過労死ライン2倍…日赤病院が協定

日赤医療センター(東京都渋谷区)が、医師20人に労使協定(36協定)の上限を超える違法な残業をさせていたとして、渋谷労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが、同病院への取材でわかった。
 
36協定に基づく残業時間の上限も月200時間と、厚生労働省が「過労死ライン」とする月100時間の2倍となっているため、同病院は今後、協定内容を見直すとしている。
 
同病院によると、常勤医は約260人で、毎年9月に36協定を締結。特段の事情が発生した場合の残業時間を「1か月200時間、年間2000時間」と規定している。しかし、2015年9月からの1年間で、月200時間を超えた医師は、小児科や外科などを中心に、4回が2人、2回が3人、1回が15人だった。体調を崩した人はいなかったという。
(読売新聞 1月15日)

朝日新聞(1月17日付)によると、昨年12月27日、北里大学病院(相模原市)は、医師の勤務時間を就業規則で定めずに違法な残業をさせ、労働時間の把握も怠っていたなどとして、相模原労働基準監督署(同)から是正勧告や改善指導を受けた。
 
北里大病院は「勤務時間管理規程」を策定しているが、医師や管理職は規程の「適用除外」にしていたという。

それだけではない。「職員の出退勤時間を打刻するタイムカードはあるが、医師の多くは出勤か退勤のどちらか一方のみを打刻するよう病院側から指導されていたという。職員は「医師が誤って出退勤時間の両方を打刻すると、事務担当者から怒られていた」(同記事)。

医師の労働時間は一般労働者と同様に上限を設定しにくいとはいえ、タイムカードに記録を残さないという手段は、いかにも姑息である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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