2018/01/09
厚生労働省東京労働局は26日、裁量労働制を社員に不当に適用して残業代を支払っていなかったとして、不動産大手の野村不動産の本社(東京)と、関西、名古屋、仙台、福岡の4支社に対し、同日までに是正勧告を出したことを明らかにした。宮嶋誠一社長に対し、是正を図るよう25日付で同労働局長から特別指導もした。
同労働局によると、野村不動産は本来、裁量労働制の適用が認められない社員に対し、全社的に不当に裁量労働制を適用し、営業などの業務をさせていた。このため、違法な時間外労働が発生していたにもかかわらず、残業代を支払っていなかった社員が一部にいるとして、未払い残業代の存在を認めた。(中略)
野村不動産は「対象者の労務時間について精査のうえ適切に対応する。当社では既に裁量労働制の廃止を決定しており、速やかに実施する。今回の是正勧告・指導を厳粛に受け止め、適切な労務管理に努めるとともに労務時間の短縮を目指す」とするコメントを出した。
(朝日新聞 12月26日)
野村不動産は違法行為をいつまでも継続できると考えていたのだろうか。それとも気づかなかったのだろうか。いまや隠し事が不可能になったという現実を認識していないと、こんな問題を引きずる事態になってしまう。
未払い分の支払いだけでなく、社名が公表され、会社側はコメントを発表せざるを得なくなる。野村不動産は責任をどう処置するかはともかく、こうした問題では、該当社員の所属長に対して処分を下さない限り、コンプライアンス遵守はかけ声倒れにとどまる。
会社に実害が生じない問題は看過されがちだが、看過すると、ふたたび同様の問題が発生しかねない。
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