2017/12/01
医療サービスの公定価格を決める診療報酬改定を巡り、医師の賃金水準をどう見直すかが焦点になっている。日本医師会は医師の技術料などの本体をプラス改定しなければ、医療従事者の賃上げが進まないと主張する。ただ診療報酬のプラス改定は医療機関の収入増になるものの、国民の負担も増える。財務省などは一定の抑制が必要と反論している。
2018年度予算編成は2年に1度の診療報酬改定の年。同報酬は薬価部分と医師らの人件費、材料費などからなり、人件費と建物や医療機器にかかる費用を本体部分と呼ぶ。これまでの調整で薬価部分を引き下げ、報酬全体の改定率はマイナスとする方向だ。
だが、本体部分をどうするかは今後の調整に委ねられている。医師会の意向を踏まえ、政府・与党内にはプラス改定が望ましいとの見方が大勢だ。だが、報酬の引き上げは税金や保険料、患者の自己負担の増加に直結する。財務省はマイナス改定を主張し、双方の主張にはなお隔たりがある。
診療報酬の改定率が決まるのは12月20日前後。改定率を決定するのは内閣で、ある病院団体の幹部は11月25日、都内で開かれたセミナーで「本体をプラス改定しなければ、医療機関の経営破綻が次々に引き起こされかねない。プラス改定が実現するように与党議員にお願いしている」と報告した。
(日本経済新聞2017年11月25日)
財務省、厚生労働省、政権与党、官邸、日本医師会などのせめぎ合いがつづくなかで、10月下旬に取材した厚生労働省の鈴木康博医務技監は、次の見解を述べた。
「医師が診療報酬を引き上げるべきだと主張すると、医師の給料を引き上げるためなのか、あるいは病院の経営を楽にするためなのかと、誤解されかねません。きちんとした医療を国民に提供し、かつ必要な人材を確保する目的であることを示さなければなりません」
スッキリとする見解である。
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