甘利明経済再生相は10日、産業競争力会議後の記者会見で、政府が導入を決めた労働時間規制を撤廃する新しい労働時間制度について、年収1000万円以上を対象にする方針を明らかにした。週内に詳細を詰め、今月下旬に改定する成長戦略に労働分野の規制緩和の目玉として盛り込む。
新制度は「1日原則8時間」などと定めた労働時間規制を外し、残業代をゼロとする「ホワイトカラー・エグゼンプション」。厚生労働省は5月、制度導入に際し、対象を年収数千万円の為替ディーラーなどの「世界レベルの高度専門職」に限定する案を示した。
これに対し、甘利再生相は10日の会見で「日本にそんな人がいるのか。探すのも大変なぐらいだ」と批判。高い技能を持つ年収1000万円以上に対象を広げる考えを示した。
国税庁の統計によると、年収1000万円以上の労働者が全体に占める割合は3.8%。甘利再生相は技能や職務範囲などで条件を絞り、新制度の対象者を全体の1、2%とする意向だ。(時事通信 6月9日)
東証1部上場の日本M&Aセンターは、ヤフーファイナンスの情報によると従業員150人、平均年齢35.5歳。平均年収では1217万円。稀に見る高給取り会社である。
とかく5000万円や1億円以上の報酬を得る金融専門職が「1000万円って高給なの?」などとうそぶくが、サラリーマンの報酬としては高給だ。
日本M&Aセンターは、労働時間の緩和に対してどう対処するのだろうか。この会社の就労実態は知らないが、事業内容からして、就労時間よりも成果が重視されているだろう。
年収の分布状況にもよるが、半数以上の社員が1000万円超だろうから、半数以上が労働時間の規制から外れてゆく。政府にとっては格好のモデルケースになる。
それにしても、この制度は(長時間労働をさせたければ1000万円以上支払え)という読み方もできる。そんな認識が蔓延すれば“経営者冬の時代”到来だ。
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