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20連勤もざら、代休なく、給料変わらず…記者たちの「裁量労働制」どこが問題か検証

長時間労働による過労死で亡くなったNHK記者の佐戸未和さん(当時31)。佐戸さんの死をきっかけに、NHKでは働き方改革を進めている。その一環として、2017年4月から記者を対象に「専門業務型裁量労働制」が導入されたという。

「専門業務型裁量労働制」というのは、労働基準法第38条の3に基づき、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間を働いたものとみなす制度だ。
 
19業務に限って導入することができ、その内訳はプログラマーや弁護士、公認会計士など様々。この中に、「新聞もしくは出版の事業における記事の取材もしくは編集の業務又は放送法に規定する放送番組の取材もしくは編集の業務」として、新聞・雑誌・テレビなどの記者も含まれている。
(弁護士ドットコム 11月15日)

記者は発生する出来事に応じて仕事をするため、勤務時間を時間で区切りにくい。同じように事象に応じて働く職業が医師である。

医師には医師法19条によって「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と応召義務が課せられているが、患者の病状が悪化すれば、規定の診療時間が過ぎても仕事を終えることはない。

ある病院勤務医は次のように話す。

「目の前の患者さんを治すことは、医師にとって本能のようなものです。勤務時間が過ぎても残業という感覚はありません。労働基準法の上では医師も労働者に区分されますが、労働者という意識はほとんどありません。長時間労働は改善しなければなりませんが、医師の仕事を時間で区切ることは現実的ではありません」

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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