2017/11/17
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は9日、日本経済新聞のインタビューに応じ、2018年度の税制改正で3%以上の賃上げを実施した企業への法人税減税を検討する考えを示した。企業が賃上げした際に増加分の一部を法人税から控除できる所得拡大促進税制を拡充する。中小・零細企業の代替わりを促すため、相続税などの納税猶予の条件を10年間限定で緩和することも表明した。
自民党税税調は22日から本格議論に入り、12月14日をめどに18年度の税制改正大綱をまとめる。安倍晋三首相が「3%の賃上げを期待する」と企業に呼びかけたことを受け、法人税の減税措置で後押しする。
(日本経済新聞 11月10日)
2018年度3月期決算で上場企業の4社に1社が過去最高の純利益をはじき出す見通しだが、これを機に自民党が賃上げと法人税優遇を主導すれば、経済政策に限っては野党のつけ入るスキが封じ込まれてしまう。
賃上げと法人税優遇が実行されれば、消費増税への地固めができる。増税分の使途は社会保障財源に充当され、再分配・格差是正というシナリオも描きやすい。野党の政策分野を与党がすっかり呑み込んでしまったのだ。野党が主張する消費増税凍結は福祉切り捨てにも直結しかねず、社会保障財源の確保策を示さない限り、劣勢がつづく。せいぜい非正規労働者の増加を突っつく程度である。
ただ、消費増税時期の2019年10月までに景気が腰折れしてしまうと、またしても慎重論が浮上して、ダッチロールが繰り返しながら2025年に向かっていく。
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