2017/11/09
年功序列の賃金体系が崩れ、今の日本企業では長年働く社員ほど賃金が伸びにくくなっている。転機を迎えているのは40代。バブル期に採用された多くの先輩に阻まれて出世が遅れ、賃金も上がらない。人口構成から「賃金が増えない社員」の比率が上がってきたことが、統計上の賃金が伸びない一因になっている。
「バブル世代が上に詰まっている。ポストが空かない」。都内のメガバンクに勤める男性がこうこぼす。1970年代に前半にうまれた「団塊ジュニア」は今、40代半ば。かつては仕事に脂が乗ると言われた世代の多くが、今は「ずっとヒラ社員」の危機にある。
大和総研によると、2016年に40代で部長に就いている人の割合は2・5%、課長は11・2%。この比率は00年代後半から低下が目立ち、10年前より部長が1・6ポイント、課長は2・6ポイント下がった。
(日本経済新聞 11月2日)
団塊ジュニア世代には就職氷河期に学業を終え、非正規労働者になってキャリアを形成できないまま40代に入った人たちも多い。正社員としてキャリアを積んでも出世ができないとは、いかにも不運な世代である。
この世代の処遇は難題だが、不自然にポストを増やしたり、バブル世代に早期退職を迫ったりして調整するよりも、賃上げで割り切ってもらう以外にないだろう。役職給を組み込めない分、能力給や調整給による増額である。
だが、賃上げでは満足せず、「〇〇長」と「長」の付く役職や、他人の上に立つことを切望する社員も少なくない。出世志向はエネルギーの現われなので、これ自体否定されるべきものではないが、過剰になると周囲から忌避されていく。虚栄心が見え透いてしまうと哀れですらある。
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