2017/11/06
外国人技能実習生の実習期間を5年に延長する技能実習適正化法が11月1日に施行され、新制度が始まる。外国人技能実習制度は1993年に始まったが、基本理念や全体の枠組みを明文化したのは初めて。実習生を「安価な働き手」として利用している実態が国際的に批判されており、受け入れ企業や団体への規制強化や人権侵害行為への罰則も設けられた。
新制度では技能実習生の技能検定試験の合格率が高いなど、優良な監理団体や企業には、実習の最長期間を3年から5年に延ばし、受け入れ人数の枠も広げる。あわせて技能実習の職種も77種類に拡大され、初めての対人サービスである「介護」が加わった。
(朝日新聞10月31日)
外国人技能実習制度を推進したい側は成功事例を取り上げ、疑問をもっている側は失敗事例を取り上げる。事実は、相手国の学生と送り出し機関との間に少なからずブローカーが存在し、日本円で100万円程度を学生から徴収し、送り出し機関に支払っていることだ。これを裏金と呼ぶのかどうかは商慣習に由来するので、日本社会の価値判断で良し悪しを断じるのは難しい。
気になるのは、そうした行為がごく一部なのか、それとも標準的な行為なのか。推進側は「ブローカーの介在はごく一部で、大半は健全に取り組まれているので、一部の行為を大げさに伝えるのは問題だ」と注文をつけるが、これは(見たくないことは無いことにしたい)という心理の現われだ。
一方、この制度に批判的な陣営は、マイナス要素にばかり目が向き、成功例を見聞きしても(そうはいっても、こんなトラブルがある)と暗部を強調したがる。
立場によって目に入りやすい風景は異なるが、この制度を活用する企業は、ある程度の性悪説で取り組んだほうがトラブル回避に役立つ。
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