ジーンズ大手エドウインは29日、裁判によらずに第三者が仲介して再生を図る「裁判外紛争解決手続き」(事業再生ADR)が成立したと発表した。
約230億円の債権放棄(借金の棒引き)を受け、伊藤忠商事の完全子会社となって再建を目指す計画が銀行団に了承された。証券取引の失敗で巨額損失が発覚して以来、2年弱で経営再建が進むことになった。
創業家の常見修二社長は退任し、伊藤忠から後任社長を派遣する。伊藤忠はエドウインが実施する約100億円の増資を引き受け、360億円を融資するなど財務面でも支援する。
エドウインの13年5月期の決算は、売上高が約499億円、本業のもうけを示す営業利益が約74億円と堅調だ。「経営問題が表面化した後も人気は衰えていない」(都内のジーンズ店店長)という。(読売新聞 5月29日)
商品力が消費者に支持されているのに、証券取引の失敗で躓くとは、つくづくモッタイナイ。かつて財テクという言葉が流行ったときには、金融取引で稼がない企業は時代遅れとも言われたが、バブル崩壊で今度は本業回帰が喧伝され、ネットバブルでふたたび投資熱が沸き起こった。
資産の有効活用は当然の施策だが、金融商品でなく、商品開発や人材育成などに投資すればよい。要は本業への投資である。
何ゆえに自社は存在するのか、社会にいかなる価値を提供するのか、社会をどうしたいのか。当たり前のことだが、理念を実現させる手段として事業は位置づけられなければならず、そこには、金融取引で浮利を追いかける余地などあるまい。
金融機関からどんなアプローチを受けようと、理念の実現に真っすぐであればブレることはない。これは、机上の空論でなく現実である。
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