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再就職支援で5000万円が不適切支給

リストラした従業員の早期再就職に努めた中小企業などに奨励金を支払う厚生労働省の制度を会計検査院が調べ、2014~16年度、元従業員が自力で新しい職を見つけたといったケースでも少なくとも計約5千万円が企業側に支払われていたことが17日分かった。

「違法ではないが制度の趣旨に沿っていない」として検査院から支出要件の厳格化を求められた厚労省は「適切な支出に努める」としている。
検査院が各地の労働局から14局を抽出して調べた結果、業者の支援を一切受けずに再就職した146人について13局から企業側に計約4400万円が支払われていた。
(共同通信 10月17日)

会計検査院が示した「違法ではないが制度の趣旨に沿っていない」という見解は見直したほうがよい。支出用件を厳格化するには「制度の趣旨に沿っていなければ違法である」と支出用件を絞り込まないと、この問題は撲滅できない。

そもそも早期再就職に努めた中小企業に奨励金を支払う必要はあるのだろうか。雇用維持のために奨励金ならまだしも、人減らしを促す奨励金は、味をしめた企業に“リストラ癖”をもたらしかねない。
奨励金は、むしろ再就職した本人に、一定の基準を設けたうえで就職準備金として支払ったほうが現実的だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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