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「1000万円求人」増加 管理職 即戦力ミドル

中途採用市場で年収1千万円以上の求人が増えている。経営のグローバル化やIT(情報技術)の普及を背景に、自社にない知識やスキルを持った即戦力を高年収で獲得する流れが強まっている。日本の技術者確保を狙った外資系企業の求人も目立つ。

ビズリーチ(東京・渋谷)の転職サイトは、年収1千万円以上の求人が前年と比べ4割増えている。高年収層はヘッドハンターを使った募集が中心だったが、「近年は求人を表に出して即戦力を募る企業が増えた」(多田洋祐取締役)。JTBは同サイトで海外事業に関わる財務担当者を年収800万~1400万円で募集。「中途採用で日本の第一人者を獲得していく」(人事担当者)
 
「1千万円求人」が増える背景に、高年収になりやすいミドル世代の転職増加がある。日本人材紹介事業協会(東京・港)によると、人材紹介大手3社を介して転職した36歳以上の人は2016年度に前の年度と比べ14%増えた。リーマン・ショック前の07年度と比べても75%多い。転職サイトやヘッドハンター経由の転職も増加傾向だ。
(日本経済新聞 10月13日)

 
日本経済新聞社の調査によると、上場企業の50%超が実質無借金経営であるという。蓄積された内部留保の投入先が、優良人材の確保に向かっているようだ。だが、中堅規模以上の企業が有望な管理職を中途採用するのなら、年収1000万円ではやや物足りない。
 
中堅規模以上の企業の管理職なら年収1000万円は珍しくなく、この年収で凡庸な働きしかできない管理職もごまんといる。
 
東京商工リサーチの調査によると、上場企業社員の平均年収は600万円強である。あちこちから引っ張りだこになるような人材なら1500~2000万円が妥当だと思うが、日本のサラリーマン社会では、他の社員とのバランスも配慮しないと軋轢が生じかねない。是が非でも採用したい人材に対しては、年収を優遇できない分、支度金を支給してカバーするのもよいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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