2017/10/17
週6日勤務で1日12時間働いたのに十分な残業代が支払われなかったとして、ネットカフェ大手「マンボー」(東京)の元従業員男性(31)が同社に未払い分など約2500万円を求めた訴訟の判決で、東京地裁(船所寛生裁判官)は11日、制裁金も含め約1200万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2009~16年、同社の漫画喫茶や本社で午前10時~午後10時のシフトで週6日働いたが、残業代は固定制で、給与明細では約半額が基本給、残りの約半額が「固定残業代」とされた。
判決は、「入社面接時に給与のどの部分が固定の残業代か説明をせず、(原告と)残業代に関する合意がない」と認定。14年2月~16年2月の期間で法定時間を上回る労働が毎月82~123時間に上ったと認め、この時間を積算した未払い残業代の支払いを命じた。
男性の代理人の若月彰弁護士は「固定残業代は社会に浸透しているが、従業員を長時間労働させる言い訳になっている」と話した。マンボーは「判決内容を把握していないのでコメントできない」としている。
(朝日新聞デジタル 10月11日)
いまもなお「業務手当」などの名称で残業代を固定している企業は珍しくない。サービス残業は勤務先へのご奉公として当然の行為という組織文化がいっこうに改まらないのである。本来なら固定残業代も支払いたくないが、それでは意図が露呈してしまうため、免罪符として固定残業代を設けているにすぎない。
ただ、免罪符としての名目であるだけに、賃金全体が増えないように基本給を低く抑えるのが通例だ。巧みに帳尻を合わせているつもりなのだろうが、そんな企業は採用に難儀していくのではないか。姑息な意図は応募者から見透かされてしまう。
採用時に重要事項の説明義務を厳しく課して、とくに雇用条件は説明項目と説明内容に基準を設けないと、ゴマカシはなくならない。
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