2017/10/10
シンガポールがIT(情報技術)立国をめざし、国をあげて起業家を育成している。その中核的な役割を担うのが「アジア1位」と評価されるシンガポール国立大学(NUS)だ。この15年間で2200人超の学生をシリコンバレーなど世界各地のベンチャー企業に派遣。海外の武者修行を経て、多くの起業家が育った。新興企業の海外進出も支援する。技術革新を成長の起爆剤に位置づける小国の戦略は、多くのヒントを与えてくれる。
「多くの起業家と出会い、彼らが特別に賢いわけではないと思った。しかし、彼らは起業家に最も必要なビジョンと決断力を備えていた」。学生時代にNUSのプログラムで、シリコンバレーの上場企業で1年間、インターンシップを経験したデリアス・チョン氏(36)は当時を振り返る。
(日本経済新聞 10月1日)
たとえば至学館大学のレスリング部に入部した学生にとって、オリンピック出場は雲の上の目標ではなく、ごく普通の目標ではないのか。周囲に金メダリストが何人もいれば、目標設定の基準が違ってくるはずで、大学受験を例にとれば、開成高校の生徒にとって東京大学への合格はごく普通の目標だろう。
人間はカメレオンのように環境に染まる。日本の大学もシンガポール国立大学のように起業家予備軍をシリコンバレーのベンチャー企業に派遣すれば、相当数が綺羅星のように輝く人材に育つに違いない。経営幹部候補として採用したい企業は多いはずだが、シリコンバレーで芽が出た人材が次々に帰国して起業したり、あるいは就職すれば起爆剤になるだろうが、多くは現地でビジネスを継続するのではないか。馴染んだ環境で芽が出た人材が、あえて環境を変える理由は容易に見つかるまい。
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