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正規と非正規、年間給与に315万円の差 4年連続拡大

企業の正規雇用と非正規雇用の人が2016年に受け取った平均給与の差は315万円で、4年連続で差が広がっていることが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。人手不足などを背景に賃金水準が上がる中、正規と非正規の格差は拡大している。
 
約2万1千カ所の事業所を抽出調査した。平均給与(平均年齢46・0歳)は422万円で、4年連続で上昇したが、正規(役員らを除く)の487万円に対し、非正規は172万円で、315万円の開きがあった。
 
正規と非正規を分けて統計を取り始めた12年は、差が300万円だった。その後、4年間で正規の平均給与が19万円上昇したのに、非正規は4万円の上昇にとどまり、差が広がった。

 業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が769万円で最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」が234万円で最も低かった。
(朝日新聞デジタル 9月28日)

非正規社員は雇用の調整弁だが、それにしても正社員との賃金格差が大きすぎる。男性の場合、46歳平均で年収172万円では結婚どころか、日々の生活もギリギリで、年齢からして正社員への移行も難しいだろう。雇用も不安定だ。政府が喧伝する働き方改革も、虚しく受け止めているのではないか。
 
少子化に歯止めをかけるには、結婚・出産をしやすい環境づくりが不可欠だが、その前提になるのは収入の安定である。安倍晋三政権は失業率の低下では成果を上げたが、非正規社員も増加させてしまった。
 
同一労働同一賃金がスローガンで終わるのか、実行に移されるのか。少子高齢化を国難の主因ととらえるのなら、消費増税分の使途よりも、同一労働同一賃金を訴えたほうが現実的だが、得票につなげる争点としては地味だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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