2017/09/25
厚生労働省は2018年度から、残業時間の削減に加えて休日も増やした中小企業に対して最大で200万円を助成する方針だ。現行の仕組みに比べて助成金は最大で4倍になる。19年度から残業時間の上限規制を導入するのを見据え、中小企業が長時間労働を減らす取り組みを後押しする。
厚労省は長時間労働の是正などに取り組む企業を対象に、職場意識改善助成金を設けており、そのなかの「時間外労働上限設定コース」を大幅に拡充する。
現在は、企業が残業時間の上限を月45時間・年360時間以下に設定すると最大50万円を助成する。これを、月80時間・年720時間超の残業時間だったところが一気に達成した場合、助成金を同100万円に引き上げる。月80時間・年720時間以下にした場合でも同50万円を助成する方向で、増額とあわせて支給の条件も緩和する。
加えて新たに週休2日制を導入すると助成金を上乗せする措置を設ける。1カ月当たりの休日を4日増やすといずれも最大で100万円、3日増で75万円、2日増で50万円、1日増で25万円だ。
(日本経済新聞 9月14日)
最大200万円の助成で中小企業が残業時間の削減に向かうかどうか。さらに金額の多寡はともかく、助成金制度で残業削減を促しても、一時的な成果に終わりかねないのではないか。そもそも残業削減になぜ助成金措置が必要なのか。
厚生労働省の助成金措置にはこうした疑問が湧いてくるが、それ以前に、この措置がどれだけ中小企業の間に知れわたるかが問題である。
中小企業向けの補助金や助成金は多様に設定されていて、自治体や商工会議所などのホームページを検索すれば確認できるが、活用に積極的な企業と無関心な企業に二分されているようだ。
ある食品メーカー社長は「使える補助金を探すのも面倒だし、申請書類と事後報告書を作成するのも面倒なので、利用したことがない」と話していたが、利用者が増えたら事務作業の負荷と不正利用の横行が発生する。あまり関心をもたれても、行政は困惑するのではないか。
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