経団連が29日発表した大手企業の今夏のボーナス(賞与・一時金)の妥結額状況(第1回集計)によると、回答した74社の組合員平均で前年夏季比8.8%増の88万9046円となり、2年連続で増加した。伸び率は、現行方式ではバブル期の1990年実績(8.36%)を超え、過去最高となった。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」による円安効果などで業績が好調な自動車や電機を中心に高水準の回答が相次いだことが要因。政府の要請を受け、経団連が6年ぶりに一時金を含めた賃上げを容認したことも背景にある。
15業種のうち11業種が前年実績を上回った。製造業(63社)は11.45%増の93万5288円。軒並み満額回答となった「自動車」が16.7%増の108万6032円と、6年ぶりに100万円台に乗せた。(時事通信 5月29日)
今夏のボーナス商戦は、消費増税を跳ね除けて活況を呈するだろう。消費者には“節約疲れ”という心理がはたらく。アベノミクスの持続性への疑問から、消費を控えて貯蓄に廻す世帯も多いだろうが、それでも昨夏よりは消費を増やし、その貯蓄もNISAの普及が示すように投資へと向かうのではないか。
しかし、こうして消費や貯蓄や投資を算段できる勤労者世帯は、全体の何割だろうか。リーマンショックを境に、中小企業にはボーナスの支給をストップしているケースが珍しくない。ある部品メーカー社長は「ボーナスのニュースが出るたびに心苦しくなるよ。社員に我慢してもらっていて、申し訳なくて・・・」と打ち明けたものだ。
景気の良いニュースは世の中を明るくするが、同時にアベノミクスの恩恵を受けられない多くの中小企業の現実にもスポットを当てなければ、今日の実像が見えてこない。
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