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6月の実質賃金0.8%減=下落幅2年ぶり

厚生労働省が4日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報値)によると、現金給与総額(名目賃金)の伸びから物価変動の影響を差し引いた実質賃金は前年同月比0.8%減と3カ月ぶりのマイナスになった。夏のボーナスが前年割れした影響で、下落幅は2015年6月以来、2年ぶりの大きさとなった。

基本給が伸びているため、厚労省は「賃金は基調として増加傾向にある」(雇用・賃金福祉統計室)と分析している。
 
基本給に残業代、ボーナスなどを合わせた現金給与総額は0.4%減の42万9686円と13カ月ぶりのマイナス。このうち基本給に当たる所定内給与は0.4%増の24万2582円。残業代など所定外給与は0.2%減の1万9001円、ボーナスなど特別に支払われた給与は1.5%減の16万8103円と落ち込んだ。
(時事通信 8月4日) 

日本経済新聞社の調査によると、上場企業の7割強が2017年4~6月期で純利益を増やした。6月の実質賃金が2年ぶりに下落したところで、賃上げの基盤は強化されている。

だが、賃上げがつづいても、個人消費の拡大に寄与するかどうかは不透明だ。消費税率10%への増税が控えているからで、税率2ケタ台への突入は、消費の抑制を引き起こすだろう。

第3次改造内閣の発足にさいして、安倍晋三首相は「再優先は経済再生」と明言した。財政再建が最優先と考える側には、消費税10%の次は15%を目標に掲げる例もあるが、それでは経済が持たない。アベノミクスなどと余計なキャッチフレーズを掲げずに、金融政策と規制緩和で経済に活力をつけてほしいが、またしてもキャッチフレーズ先行型の経済再生政策を講じるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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