2017/07/04
電通で起きた新人女性の過労自殺事件をきっかけに、労働基準法などに基づいて企業を指導・監督する労働基準監督官に注目が集まっている。彼らが目下照準を合わせる業界の筆頭格が「メディア」だ。昨年12月には、朝日新聞東京本社が中央労働基準監督署から是正勧告を受けている。このときの対象は編集部門ではなく財務部門だったが、今後各紙の編集部門がターゲットとなる可能性がある。
(中略)
そんな中、重い腰を上げたのが日本経済新聞社だ。「働き方改革に本腰を入れる。われわれの頃と時代が変わった」。今年2月、長谷部剛専務(東京本社編集局長)は会議室に集めた局員を前に言明。編集総務や人事労務部長も同席し、こまごまとした指示を飛ばしている。
「取材先の自宅を定期的に夜訪れる”定例夜回り”はやめろ」「必要な場合も交代制にして、朝と夜は別の人間が行け」などと、事実上の夜回り制限を命じた。それではコアな情報が取れないという懸念に対しては、「夜回りのかわりに携帯電話での取材や会食で情報を取れ」と応じたという。「現場からはそれでは会食の経費は使えるのかと質問が上がったが、うまくはぐらかされていた」(日経社員)。
(東洋経済オンライン 6月26日)
どんな職業でも仕事の仕方を変えるのは一大事である。長年の業界慣行や社内の仕組みなどから、「この業界には合わない」「それでは仕事の質が下がってしまう」と条件反射のように反論が返ってくるものだ。
しかし、そうした反論を容認したら、就労環境の改善はいっこうに進まず、労働基準監督署の役割も問われかねない。日本経済新聞社は、その動向にもっとも精通している会社のはずだ。報道機関は例外であるとかわさずに、正面から環境改善に取り組むことは耳目を集めるだろう。
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